絵画ゼミ所属、渡辺莉子さんの作品紹介です。
『鱗雲』
アクリル絵具、キャンバス
F100号(1620×1300mm)
入道雲とピラニアの鱗をモチーフとして、雲にも魚の鱗にもみえるような違和感や曖昧さを意識して描きました。雲も鱗も、光の当たり方や見る角度によって様々な姿を見せます。同じ物事でも、見方や感じ方は人それぞれで、その人だけの感性があると思い、そのような個人差について表現しようとしました。モネの睡蓮を参考にして明部と暗部を交互に置き、Z字型の動きのある構図をつくりました。また、彩度の低い色と彩度の高い色を使い分けることで画面に変化を出しました。
『灯 あかり』
アクリル絵具、ジェッソ、キャンバス
F100号(1300×1620mm)
(拡大図)
線香花火のような、暗闇に灯る小さな光をイメージして描きました。つらいことがあったとしても、日々の中から小さな希望や幸せを見出し続けながら生きる強さを表現しています。「鱗雲」と同様に明るい部分をZ字型に配置して動きのある構図にしました。明るい部分の中でも、画面下と画面上で明度や彩度に差をつけて画面に奥行きがでるように意識して制作しました。また、暖色と寒色、明るい部分と暗い部分の境目は細かい点のようなタッチで描き、異なる系統の色が自然に混ざり合うように工夫しました。
『巡 めぐり』
アクリル絵具、ジェッソ、キャンバス
F100号(1300×1620mm)
(拡大図)
人間との出会いは偶然で、生まれや育ちも選べません。自分ではどうすることもできないものが自分の人生を大きく左右している不思議さ、巡り合いという人智を超えたものの壮大さを表現しようとしました。
手前の部分は彩度を高くして、ピンクに黄色やオレンジなどの暖色を混ぜています。他方で奥の部分には彩度の低い色を使い、ピンクに青や紫といった寒色を混ぜ、遠近感が出るように工夫しました。加えて、モデリングペーストやグリッター、スパンコールなどの素材を使うことで、でこぼことした質感を出しました。グリッターやスパンコールが光に反射するので、鑑賞する角度や距離によって異なる印象を受けると思います。
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