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執筆者の写真広大美研

作品紹介 彫刻専攻③

彫刻ゼミ所属、岩本理沙さんの作品紹介です。



被爆3世である私は広島で生まれ育ち、これまで様々な平和活動に取り組んできました。その経験から、彫刻を通して自らの平和への思いを表現しようと、「ヒロシマ」や「平和」をテーマに作品制作に取り組みました。


作品のタイトルはすべて『みあげる』とし、空を見上げる人の姿を石膏で表現しています。これはある被爆者の方の、「原爆がさく裂した時に空を見上げていた」という証言から着想を得ました。原爆で犠牲になった人ではなく、私の身近な現代の人の姿にすることで、私たちと同じような一人ひとりの「人間」が犠牲になったことを表現しています。

着彩はせず、真っ白な作品から鑑賞者が想像をふくらませることができるようにしました。また、像の下には黒色のベニヤを敷くことで、影を表現しています。これは、原爆の閃光によって影だけを残して消えてしまった人々がいた、という被爆の実相からヒントを得ました。



『みあげるⅠ』

石膏

H1680×W330×D510(mm)


携帯を手にくつろいでいる若い女性が、“ふと空を見上げている姿”を表現しました。



『みあげるⅡ』

石膏、ベニヤ

H800×W1000×D1880(mm)


鞄を肩にかけ歩いている若い男性が、“ふと立ち止まり、空を見上げている姿”を表現しました。



『みあげるⅢ』

石膏、ベニヤ

H1200×W950×D1240(mm)


椅子に腰かけ読書をしている若い女性が、“ふと空を見上げている姿”を表現しました。




1945年8月6日午前8時15分。空襲警報が解除されていた広島の街で、人々は一瞬にしてすべてを奪われました。

戦争や原爆を知らない私たち若者は、被爆者の方たちと同じ体験をすることはできません。しかし、あの日の誰かと自分を置きかえ、今この瞬間、自分にとって大切な人やもの、すべてを失ってしまったら?と考えることはできます。


皆さんも作品と同じように空を見上げ、想像してみてください。この作品が、核兵器の恐ろしさについて考えてもらうきっかけになることを願っています。




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