こんにちは!造形芸術学領域の堀部です。
卒展学内展も後半戦、じわじわとご感想をいただけて嬉しい期間です。
私は論文執筆メインのゼミなので、卒展には「大正期の女性画家への批評分析―上村松園の官展出品作を通して―」という論文パネルを展示しています。
ですが、ブログのタイトルは卒論で引用した日本画家、伊藤小坡の言葉です。
「私はむしろなまなかに藝術に生きるよりもよき家庭の人となることの幸福さを思はされたりすることもあります」
伊藤小坡「若き女性畫家の悲み」『大毎美術』第3巻第9号、1924年、p.15
この引用文には、制作や世間の評価で苦しむよりも、結婚して「よき家庭の人」となる方がいっそのこと幸せではないかと、女性の画業へ諦観が込められています。
個人的に伊藤小坡は3人の子育てと制作をこなすキャリアウーマン的な人物と感じています。その一方、娘の看護に追われて文展出品を見送ることもありました。小坡も松園も、結婚を機に筆を折った(折らざるを得なかった)門下生を数多く見送っているため、女性の画家志願をあまり歓迎していません。
いつの時代もキャリアトランジションは複雑だ、とゼミの先生と二人でうなずいて書きました。こんな調子で研究が結構共感的、もしくは戒め的なワードを多くはらみ出したので、卒論は特大カウンターを食らいながら書き進めました。
2月23日(金)㊗13時からは広島県立美術館の地下にて論文発表会、15時からは実技系ゼミのギャラリートークがあります。ご都合の合う方はぜひお立ち寄りください✿
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